時代劇+ゴジラ。舞台は動乱の戦国時代。絶対的な武力によって天下を統一し、国を我が物とせんとする将軍とその側近であり異端の古代神道に通ずる神官は、「国産み神話」において大地を創造したとされる伝説の矛、「天の沼矛」を奪い、割拠する群雄をもひれ伏させる戦国の世の国体に等しき存在?「呉璽羅」を生み出した。禍々しきその巨体は、戦乱の世の浅ましく凶暴な人々の業を喰らいながら、並みいる群雄の領地を灰燼と化してゆく。体躯を覆う醜く赤黒い肌は、踏みしだかれ荒廃した大地とそこに横たわる死屍累々の血肉のようであり、憎悪と憤怒をまき散らす乱杭歯の口元は、慟哭に哭く鬼神が如く顎が左右に割れ、城下の村々や田畑を焼き尽くす熱線を放射した。戦乱を極めし荒ぶる神「呉璽羅」の背にひしめく背びれが、後世の国の象徴である「桜」の満開の花模様に映るのは、全くの皮肉であった。やがて制御不能となり、日本を、否世界をも破壊せんとする獄卒になり果てた「呉璽羅」の前に、もはや成す術なく人の世が滅ぶかに見えたその時?罪もない人々の祈りによって目覚めた摩崖の秘仏は、その身に黄金の光を宿し、「呉璽羅」に立ち向かうのであった。

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